症例紹介

Case2 犬の膀胱移行上皮癌

犬の膀胱腫瘤は、ほとんどの場合悪性腫瘍であり、その中でも最も発生率が高い腫瘍は移行上皮癌です。移行上皮癌は膀胱粘膜に発生する悪性腫瘍であり、転移や局所浸潤性が強いという性質があります。この腫瘍は転移が生じたことが原因で亡くなるよりは、腫瘍の増大浸潤により尿道尿管の閉塞が生じ排尿不全、腎不全で死亡する場合が多いです。

今回健康診断で膀胱に小さい腫瘤が見つかり、切除した結果移行上皮癌であった患者さんをご紹介します。

画像上方が膀胱で黒い部分は尿になります。大きさを計測している部分が膀胱内腔に突出した粘膜腫瘤6mmです。

飼い主さんとも相談した結果切除生検することになりました。切除は、膀胱に強い光をあて腫瘤を透かしそこから水平マージンを確保し切除しました。

透かされた膀胱内の腫瘤の周囲に1cmの水平マージンラインを電気メスでマーキングしました。

病理組織検査結果は、移行上皮癌で完全切除されていました。

非常に早い段階で見つかり、完全切除できましたがこの癌の性質上、術後は抗がん剤治療を行なっています。

この癌はもっと大きくなって見つかると部分摘出ができなくなり、内科治療のみだと4ヶ月から1年前後の生存期間となります。膀胱尿道全摘出術という外科手術はありますが、成功したとしても自分で排尿できなくなりずっと出続けることになり、その介護や腎盂腎炎のリスクがその後ずっと続くことになります。よって早期発見は最も重要と言えます。

健康診断は早期発見の一助になりますので、5才を過ぎたら是非とも健康診断を受けましょう!

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